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健全な遭難

20130831sat
 八月が終わる。八月のすべてが夏休みだった日々はもうすっかりと遠く、でもそれでも、八月の終わりにはふしぎな寂しさがやんわりこめかみに触れるからふしぎだ。
 平日の昼日中にぶらぶらした奄美大島は、もうすぐ終わってしまう夏休みを惜しむように、駆け回る子どもらで溢れていた。夜のコンビニの前には中学生や高校生がたむろしていて、大きな声でなにかをアピールするよう、一生懸命騒いでいるのがかわいい。彼らが振り回した花火の軌跡を思い出す。ちらちらと舞う火の粉は、ほんの一瞬、淡い闇を照らして、すぐに消えてなくなってしまう。
 今日からまたしばらく、缶詰で仕事。
 休憩時間に、瀬尾まいこの「卵の緒」を読んだ。わたしは食べものをおいしく書く作家がとても好きで、だからもちろん、瀬尾まいこのことも好きになった。「すごくおいしいもの食べたら、食べさせたい人の顔が浮かぶはず」。うん、そうだね。それはとてもしあわせなことだ。

20130901sun
 トイレに入ろうとしたら、閉まっているドアの内側から「こんこん」というノックの音が聞こえたのでびっくりした。びっくりしたまま固まっていると、ごくふつうの顔で後輩が出てきたので、「どうして叩いたの?」と尋ねた。すると後輩は、自分がノックをしたという事実にたったいま気がついたとでも言うように、「な、なんででしょう……疲れているわけでも、眠いわけでもないんですけど……」とびっくりしていた。びっくりされたことにわたしはびっくりして、なんだかびっくりした。
 小説を一冊読んだ。恋愛が主題のものはやっぱり苦手みたい。食べものがおいしそうに書かれていたのにな。

20130902mon
 仕事中に自殺の話になった。上司は、今日をどうしても生きたかった人もいるのに、自殺する人はどうして命を粗末に扱うのかわからない、と言っていた。上司の同郷の友人は、有名大学に入って順風満帆だったのに、数年前のある日、自殺してしまったらしい。ブログを読んだら、一目で病んでいるとわかる内容だった、と上司は言う。自殺なんて理解できない、自殺するくらいの気持ちがあればなんでもできる。ひどくまっすぐな目で、怒りすら湛えながら、上司はそう言う。別の上司は、自殺する人の気持ちが理解できてしまったら危ないんだから、わからなくて当然なんだよ、わかるようになったらやばいよ、と言って笑う。わたしも一緒になって笑う。
 上司の友人が自殺したとき、家族や会社の人はいろいろと大変だったらしく、死ぬなら死ぬで迷惑かけないように死ね、と上司は言っていた。もっともだと思う。わたしはちゃんと、自宅からもっとも近い国有林の場所を知っている。死ぬ予定なんかないけれど。ないけれど。
 彼らにはわからないだろう。

20130903tue
 ビスコを食べたので、おいしかったし強くなった。
 眠る前にPlastic Treeのインクを聴いたのだけれど、何度聴いても、ほんとうにしみじみとよいアルバムだと思う。ほんとうは、ロールシャッハ(左)(右)だけを聴いて眠るつもりだったのだけれど、ロールシャッハ(左)を聴いたら、そのままトラックを飛ばすことができず、まんまとすべて通して聴いてしまった。気持ちをゆったりさせて眠るつもりだったのに、ピアノブラックやあバンギャルどでは、ハイになってベッドをごろごろ転がってしまった。とんだ睡眠妨害CDです。
 今日読んだ小説は、文体が好みで、出だしで「うわ、すごい、大好き」と思ったのに、読み進めるにつれ失速して、最後にはつまらなくなってしまった。あんなに好きだと思えたのに。さみしい。

20130904wed
 Plastic Tree「瞳孔」の発売日だよ。いま仕事で猛烈な田舎にいるので買いに行けません。ぬおお……。
 仕事中、作業が遅々として進まないので、現実逃避で「二の腕の肉ってどうやって落とせばいいんだ……痩せたい……」とぼやいていたら、後輩が「ネットでいいダイエット見つけましたよ」と言うので、詳細を訊いてみた。
「えっと、鏡を見るんです。大きな鏡。それで、自分の体型をよく見る!それだけです。運動しないし、ご飯我慢しない」
「えっそれだけ?」
「そうです。それで、憧れの、自分がなりたい体型の人を思い浮かべて、自分はその人だ、その人だ、って一生懸命イメージするんです。えっと、なんだっけ、そうだ、妄想ダイエット!」
「すごい。毎日イメージしてたらのっちになれる?」
「なれます」
「すごい。のっちになりたい。妄想なら得意分野だよ、がんばる!」
「がんばってください!わたしは運動しますね~」

 ……あれ?

20130905thu
 大好きでとても大切なのだけれど、こわくて簡単には聴けない。えいッ、と気合いを入れないと、再生ボタンを押すことができない。わたしにはそういった曲がいくつか存在していて、Plastic Treeの「ゼロ」は、そのなかのひとつだ。
「哀しみをあげる 微笑みをあげる あたたかな涙と引き換えにしてあげるよ」という歌詞について考えている。「足しても引いても 掛けても割っても 何も変わらない魔法があるなら」という歌詞についても。音楽によって奪われるものとか、奪われるという行為によって生じる空白とか、その空白に起因する連帯とか。そういうことについて考えている。
 ゼロを聴くと、反射的にcellも思い出す。
「ずっと永遠に信じれるものがあるの?いつか永遠に信じれるものがあるの?」

20130906fri
 チェルシ~はママの味~♪
 作業が佳境に入ってきたので、そろそろ寝る食べる仕事する以外のことをする余裕がなくなってきている。江國香織の「やわらかなレタス」をちょっとずつ読み返すことが、ここ数日の癒し。ほんとうにこの人の文章はうつくしい。そして何度も読んだ本なのに、開けば必ず、いつだって新鮮でやわらかな発見に満ち満ちている。ふしぎ。
 山中千瀬「夢日記」も同じようにちょっとずつ読み返している。これもここ数日の癒し。ただ、この本は、読んでいるうちに、自分まで夢をみている気持ちになってくるのが困ったところだ。ちゃんと起きてるのに。ちゃんと現実のわたしが本を読んでいるのに。いつの間にかふわっと時空が歪んでいる。しかもいやな感じの歪み方じゃない。ちょっとファニーな感じの歪み方だ。そんなの楽しいし、困る。ぜんぶ読んだし感想を書こう書こうと思ってまだ書いていないので、今回の作業中に空いた時間をうまいことかきあつめて書こう。
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