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職場でも出先でも自室でもあの子、遠慮などせずに突然訪れるでしょ。拒否することなどできない、ただ蹂躙されて、思うがまま、やりたいように振舞うあの子を見ているだけ。わたしのプライベートスペースが荒らされているさまを眺めているだけ。飽きたら帰るって知っているから、むりやり帰そうとする努力はもう捨てた。どこまでも一緒に生きていくしかない。あの子がわたしの部屋にやってこないようになるのは、わたしが死んだときだけだろう。結局憎んでもいないんだ。あの子が来ることを待ち望んでいるわたしだっている。あの子のいない部屋でもあの子の存在をどこかで感じ取っている。いつでもどこかであの子のことを思い、惜しみ、もしかしたら誇らしくすらあり、そしてそんな自分を疎んじるところまで含めて、それはあの子の作用だろう。憂鬱という名札をつけているあの子は、また当分背中にへばりついて離れない。それでもそれは、わたしにとって、嘆くべきことではないんだよ。

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